組曲「人間の歌」
年の別れ
作詩 堀口 大学 作曲 多田 武彦
逝く年は音(ね)にさえ立てぬ
逝く年は女であるか
盛(さか)りゆく影が淋しい
うなだれて見返りがちに
盛りゆく後姿が
捨てられた女のように
別れゆく影が侘しい
女なら嘆きもしよう
逝く年は音にさえ立てぬ
野の末の流れのように
年が逝く 風に光って
唖の子の恨みさながら
目に涙いっぱいためて