混声合唱組曲
武 蔵 野
作詩 島崎 光正 作曲 飯沼 信義
U.夏の章
億の火花は陽をこがす
遙かな古代の時を
おやみもなしに火山灰(よな)は降り
大地の皺に
おお 降り積る
降り積る
人やけものの声は絶え
草や林の影も失せ
火を噴き続ける
遠く 近い富士
のぼる万丈の灰神楽
走る 稲妻の舌
天のおらびの
いく夜をかさね
ふたたび
静まる野の上に
ふたたび露はおり
灰のしとねに
卵はならび
よみがえる生命の歴史
水の矢じりは岩間をぬい
魚はうろこをひるがえす
武蔵野台地