さくら貝の歌
作詞 土屋 花情  作曲 八洲 秀章

 昭和24年7月4日から、小川静江の歌で発表された「ラジオ歌謡」。
センチメンタルな中に香気あふれる美しいメロディで、特に女性層に愛された。作曲家の
卵だった八洲秀章には、是非結婚したいと願っていた恋人がいたが、彼女は胸を病み
18歳でこの世を去った。八洲は、鎌倉由比ガ浜の海岸で傷心を桜貝をひろってまぎらわし、
”わが恋の如く悲しや桜貝、かたひらのみのさみしくありて”の一首を詠んだ。これを
昵懇(じっこん)にしていた土屋花情に示し、この句をモチーフにして、この詞が出来たのである。
                                      (日本抒情歌全集1の解説より)

1.うるわしき 桜貝ひとつ
  去りゆける 君に捧げむ
  この貝は 去年(こぞ)の浜辺に
  われひとり 拾いし貝よ

2.ほのぼのと うす紅染むるは
  わが燃ゆる さみし血潮よ
  はろばろと かようかおりは
  君恋(こ)うる 胸のさざなみ

  ああなれど わが思いは儚(はか)なく
  うつし世の渚に 果てぬ