鯉のぼり

文部省唱歌

マーチ調の素直なメロディだが、弘田龍太郎が音楽学校の二年生の時に作ったものといわれる。(まだ学生時代の作品ということで、著作権の対象外とされ、正式に認められていないという。)
今の子供にこの歌詞は難しすぎる。教場で先生が「あの威勢のいい鯉のぼりが、空を泳いでいる姿を思い浮かべながら、元気よく張り切って歌いましょ」と指導しても、団地のベランダにある金網の手すりなどにゆわえつけてある、ナイロン地製のだらりとたれさがった鯉のぼりしか知らない今の都会の子供たちに、果たしてこの実感が湧くであろうか?   「日本抒情歌全集」より

甍(いらか)の波と 雲の波
重なる波の 中空を
橘かおる 朝風に
高く泳ぐや 鯉のぼり


開ける広き 其の口に
舟をも呑まん 様見えて
ゆたかに振るう 尾鰭(おひれ)には
物に動ぜぬ 姿あり


百瀬の滝を 登りなば
忽ち(たちまち)竜に なりぬべき
わが身に似よや 男子(おのこご)と
空に踊るや 鯉のぼり

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