混声合唱組曲
ひたすらな道
作詩 高野 喜久雄 作曲 高田 三郎
2.白 鳥
夢ばかり見ていた白鳥
群れからはぐれて ひとり湖の上
眠りすぎていた白鳥
目ざめると誰もいない
いてつく冬の朝
見わたす限りの氷
とびたとうともがく
もがく もがくが
両足は かたい氷の中だ
大きな翼をはげしく搏(う)ち
もがき あばれ狂う時
両足はもう断ち切れそうだ
きれる きれる きれる
きれてもなおとぶのだ
おお 白鳥は遂にふり切ってとびたった
すばらしい絵のように空の果てにとび去った
やがて春が来た
二本の足が湖に浮いていた
おお そして 信じてほしい 間もなくのことだ
やはり あの両足のない白鳥が
湖の上を舞い
幾日も舞いながら
遂にその両足を見つけ
口にくわえてとび去った